組織トップは、常に裸の王様になる危険がある。裸の王様の条件は二つ。王権を行使すること、王権の行使に諫言が無く、チェックが働かないこと。例えば、次の文章は、この条件を満たしている。

「今回の追加調査により、仮財務諸表がＪＨ内での所在が確認できたこと及び当該仮財務諸表と仮定貸借対照表が同一のものであることが確認されたものの、 前回調査結果で取りまとめたように、�@資産の再評価基準及び財務諸表作成のための会計処理方法をＪＨとして定めておらず、実務担当者が個人的に設定した会計処理方法により作成されたこと。�A仮財務諸表については、部長、役員への報告、説明が一切なく、 部長、役員の審議、評価を得ていないこと等の理由から、ＪＨの財務諸表とは認められないことは明白である。」 （出所：http://www.jhnet.go.jp/press/rel/2003/08/11/index_top.html）

　この文章は調査のまとめの文章であり、本来であれば、調査の目的の「 しかしながら、前回調査結果では、仮財務諸表の存否を確認するに至らなかったこと、仮財務諸表に係る上司への報告の有無について、回答に不一致が見られたことから、 改めて次の事項について追加調査をすることとしたものである。」に見合った文章にすべきであり、見合った文章にすれば、「明白である」で締め括ることができないはずである。それなのに、指示を無理やりに守ろうとした結果、主語・述語関係が混乱し、文章中に句点が入った文章になってしまった。冷静に読めば、外部に出せるような文章ではないのに、報道機関に流れ、サイトで公表されたということは、「明白である」を挿入した者に対して諫言する者がいないことを示しており、裸の王様の要件を満たしている。